介護の仕事には接遇は必須。多くの事業所で接遇研修が行われ、「話し方」「聴き方」などを現場の職員や事務員、ケアマネージャーなどが学びます。しかし、話し方や聴き方の研修を受けても、なかなか実際の現場では活かせないケースも少なくありません。ベテラン職員でも、つい接遇への意識が抜けてしまうことがあります。
接遇意識が低下してしまう原因の1つが、現場の忙しさです。介護業界は慢性的な人手不足。そのため、スタッフはたくさんのタスクをどんどんこなしていかなくてはなりません。そんな中で、研修で学んだばかりの話し方や聴き方を意識し続けるのは難しいでしょう。接遇では表情も大切ですが、忙しさで疲労がたまれば笑顔をキープし続けるのは大変なこともありますよね。
この問題は自分の力で解決できるものではありませんが、それでも自分で接遇意識を高く保つ方法はあります。とても簡単で、誰にでもできる方法です。それは、「自分が介護される立場だったら、今の自分に介護されたいだろうか?」と考えることです。そうすれば、利用者に不安や不快感を与えるような態度を取らなくなります。普段の仕事にプラスすることは難しいでしょうが、マイナスに感じられてしまうことをなくすことは忙しくても比較的行いやすいはずです。
研修で学ぶような内容は、少しずつ身につけていけば良いのです。まずはマイナスをなくすことで、相手を1人の人間として尊重する真の接遇がスタートします。接遇を向上させるいちばん大切なポイントは、相手の立場になったつもりで自分を見つめてみることです。